秋田に通いながらいつも恨めしく思いながら通過しておりました。

地元建築家、渡辺豊和氏設計の秋田市体育館。

竣工は1994年。
バブルがはじけて日本全国意気消沈な時代、最後の打ち上げ花火のごとく、ポストモダンの本命建築がここに現れました。

中も見たいとずーっと思いながらも現場や打ち合わせで時間が取れず彼此6年。
そしてようやく、見学する事ができました。

秋田に行ったら、やはり見ておくべき建築。




「ポストモダン」という言葉が陳腐に聴こえるくらい、最近の「あっさりでシンプルでモダンでスッキリ!」な草食系建築物に比べると、この圧倒的な存在感は何という事でしょうか。


縄文・弥生で分けると、思い切り縄文系のコッテリさ。


ここまでくると好きとか嫌いとかのレベルを超えてただただ圧倒されます。


謎の空間をベニアで塞いでます。
誰か籠城しているのだろうか?


沿岸部に立っているからか、はたまた形状があまりに複雑でメインテナンスにお金が掛かけられないからか、コンクリートは汚れ、中性化したのか骨材が露出し、鉄骨は錆び、もう廃墟マニアにはたまりません。


H・Rギーガー好きにもたまらない喫煙スペース。
たぶん当初は違う用途の空間。


1994年完成との事で20年程度経過していますが、この形態がそう思わせるのか、それとも劣化ぶりが後押しするのか、まるで数千年もこの地に建っていたかのような印象さえ受けます。


「その昔、秋田には全く別の古代文明が存在したと言われている。
日本国のいかなる文化・文明とも接触を断ち、独自に進化した文明。」

東北地方で生まれ育った人ならば、こんな話を子供の頃に聞いていたであろう。そんな伝説のような話が真実であるかもしれない。

先日、分子人類・分子進化学会でこれまでの通説を覆す、人類を震撼させる発表があった。

この秋田地方の人類進化過程が、他の地域、日本も含む全世界の人類の進化モデルとは全く異なるというのだ。

これまでヒトの染色体である「ヒトゲノム」を構成するDNAに関して様々な調査・解析・研究がなされてきたが、個体の個人差はどの人種間でもおよそ0.1%と言われてきた。

しかし今回、秋田地方のヒトゲノムを解析したところ、他のヒトゲノムとのシンクロ率は80%以下である事が判ったのだ。

これはヒトと地球上の多くの哺乳類とのシンクロ率がおおよそ「99〜80%」である事と比較しても驚愕する数値である。

また時を同じく驚くべき事実が王立建築家協会と日本建築学会の合同記者会見により発表された。

現在秋田市立体育館として使われている遺構形状の特異な施設は、放射性同位体を用いた半減期を調べたところ、築造後5,000年から20,000年以上経過している事が判明したというのである。

これら二つの事実が何を示すのかは現時点では判断できないが、専門学会内だけではなくソーシャルメディアを中心として 「秋田人は宇宙から来た」との噂の拡散は収束が見えない。

匿名でインタビューに答えた文化人類学の世界的権威は

「これまで単に地方文化として「ナマハゲ」を見てきたが、最近の発表と何か繋がりがある可能性は高い。」と述べている。



みたいな、映画のスターゲイトとかに出てきそうなチープなストーリーがすぐに頭に浮かぶ感じ。





形状に直線的なものが殆どなく、何を表現したのか理解できない有機的形状がいたるところにあり、建築屋としては型枠大変だっただろうなぁという溜息ばかりが漏れます。





以外と開口部の納まりなどは等閑(なおざり)だったりして人間味を感じるところではありますが、全体的にはやはり何か宇宙を感じぜずにはいられません。


もしかするとこの納まりにも想像がつかない理由があるのかも。


メインアリーナ

サブアリーナの天井。
外見に比べて地味。

実際には様々なスポーツができる多目的アリーナで、アリーナに入ってしまうと「胎内」という印象は以外と薄い。


館内では結構雨漏りが放置されてまして、バケツが寂しく置かれていたりします。







「屋根に足場組むとしたらすごいコストかかりそう」という想像は容易にできますし、地方財政が苦しい秋田市では補修できないんだろうなぁと思いながらも、これは雨漏りではなくエイリアンなどで出てくる「体液」なのでは?と思うと、これはこれで雰囲気があります。









よそ者が見るとあまりのその異様さに驚きますが、利用している市民は「変な体育館」程度にしか思っていないらしく、以外と受け入れられているのかもしれません。





今作ろうとしても絶対に作れない。
財政がいくら豊かだとしても、市民が許さないでしょう。

だとしたら、なぜ90年代にこれを建てられたのか?
色々と考えさせられる。

そんなバブル時代の遺構として、この建築は次の世代にも是非引き継いでもらいたいものです。


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